2011.11.08 Tuesday
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日々のつれづれ
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土の中の子供2005.08.08 Monday 00:14第133回(だったかな?)芥川賞受賞「土の中の子供」読了。
なんだか母が買ってきたので、私も読んでみました。 内容は…エート…。 27歳、タクシー運転手の主人公は親に捨てられ、引き取り先で暴力に耐える子供時代を送った。その彼の無気力ライフ日記(信じないように)。 以下ネタバレ感想。 これが芥川賞なのか…。というのが最初に思った感想でした。まあ芥川賞にいまさら何の期待もしていないぜと思いつつも、やっぱり一応期待して受賞作はチェックしてしまう私も私なんですが。 これをして「THE純文学なり!」ということで、この小説が芥川賞となったのかなあ。だとすれば、そりゃ純文学は売れないよなーという感じ。 テーマは幼児虐待と、そこからの再生?なのかなあ。私はこの人の単調な文章が非常に気になって仕方がなかったです。読点のパターンがいっつも一緒でつらい。淡々とした効果を狙っていたのかもしれないけど、寝そうになってしまいました。まあそんな事は個人の好みの問題だと思うから、どうでも良いんですけどね。 なんかこう、非常に「頭の中だけで書いてる小説」という感じがしてしまったのです。小説って基本的に皆頭の中だけで書いているとは思うんだけど…なんというか、リアリティが感じられないっていうか。 特に、主人公の恋人(名前が白湯子ってところがもう私は駄目でした。中国人かと最初思いました=パイ・なんとかみたいな)がぜんぜんリアリティ感じなくて、水商売臭もアル中臭もないし、人物に説得力がない。だから何を言ってても私には響いてこなかったのです。 作者も27歳だそうで、この世代に(って私もだけど)特徴的な無気力感、閉塞感が息苦しくてうっとうしかった。あとこの世代の無気力小説っていうのも、なんだかあまりにもありがちなような気がするんですよね。その部分に共感する人もいるんだろうけど、私にはさっぱり出来なかったなあ。 そもそも幼児虐待ものって手垢がつきすぎているので、それを小説として読ませるのは難しいのかなと思いました。シリアスな問題ではあるんですが…。 表題作よりも、一緒に収録されている「蜘蛛の何とか」(・・・)の方が私は面白く読めました。ニート小説って感じ。 しかし芥川賞といえば、村上龍や池澤夏樹、それに中上健次なんかが取った名誉ある賞なんだから、もうちょっと考えて選考して欲しいです。本を売るための賞な訳だから、今後も売れる力のある人にあげて欲しい。でないとせっかくとっても本が売れないって! ■今日読んだ本■ 「日経ビジネス」 青山剛昌「名探偵コナン49巻」 海辺のカフカと村上春樹2005.08.01 Monday 23:17海辺のカフカ (上) 村上 春樹 村上春樹「海辺のカフカ」読了。 少年は自分の名前を「田村カフカ」に変え、15歳の誕生日に家を出た。中野区に住む猫探し名人ナカタさんも、時を同じくして不思議なトラブルへ巻き込まれてゆく。みたいな話(ええ?) 久々に村上春樹を読みました。文庫で上下巻。会社の先輩に借りたんだけど、結構面白かったです。村上春樹の中ではかなり解りやすいんじゃないかな? THE・村上春樹!!という感じで、春樹節が好きな人なら「お帰り!待ってたよ!」と思うような本だと思いますが、あんまり好きじゃない人は「またかよ」とか「なんだこりゃ」とかいう感想を持つんじゃないでしょうか。私は、うーん。中間っていう感じかなあ…。 私がそもそも村上春樹の本とであったのは、10代の初めぐらいに読んだ「遠い太鼓」というエッセイでした。低めテンションで語られる外国生活のあれこれに、当時微妙にアンニュイだった私は非常に嵌ったようなおぼろげな記憶が。素晴らしい!と絶賛しているわけでは全然ないんだけど、いかにも異国な街の情景や、穏やかに過ぎてゆく(いや、本当はそうでもないんだろうけど…)作者の生活の語り口が非常に心地よい本です。 そのあと「ノルウェイの森」を読んで「ぜんぜん面白くない」と思い(思えばこの本を読むには若すぎたのかもしれませぬ)、懲りずにその後「羊をめぐる冒険」を読んで自分の中で大ブレイクしたんでした。 「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「回転木馬のデットヒート」「ダンス・ダンス・ダンス」etc…と、あらかた読みつぶしていったんですが、このあたりでなんだかだんだん飽きてきました。 村上春樹という作家、というか純文学系といわれる作家の多くはそうかもしれないんですけど、自分のために小説を書いている人なんだなあ…としみじみ思いはじめました。 そのせいか解りませんがなんとなく、作品のトーンというかエンディングとかが、ちょっと似たような感じに思え…。それが自分にフィットしている時は嵌るんだけど、ずれてしまうと中々入っていけないって言うか。 で、そんな中評価の高い「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んで、あの小説の世界の出口のなさ(いや、出口はあると言えばあるんだけど…うーん)が非常に辛く、ものすごーく脱力してしまい、それっきり春樹作品は読んでいませんでした。 今回の「海辺のカフカ」もそれほど読む気はなかったんだけど、たまたまタイミングが合ったので久しぶりに春樹文学に挑戦してみました。 で、その「海辺のカフカ」。 たとえば母子愛(??)とか、あまり村上春樹がモチーフにしなかったテーマが出てきますが、作品のトーンはいつもと一緒。この低めゆるめの感覚はやっぱり心地良いですね。 こんな15歳は世界のどこにもいなくて、大人の生み出した15歳なんだけど、でもきっとこんな風になりたい15歳(というか10代)はこの本を読んでたくさん生まれたんだろうなあ、と思いました。私も図書館で生活したいな〜。 そして今回なんだか、未消化なエピソードがたくさんあったような気がするんだけど、村上春樹という人にはなぜか「そんな気がするのは、私の読みが足りないせい?」とか思わせる何かがありますな。それが良いのか悪いのかはともかく…。 色々ずらずら書いたけど、「遠い太鼓」を読み返そうかな〜と思ったので、やっぱり面白かったんだと思います(あいまいな!!) ■今日読んだ本■ 村上春樹「海辺のカフカ」 寺山修司「ポケットに名言を」 |